はじけ飛ぶ笑顔 巧みな熱唱次々

広がれ「点字カラオケ」
目の不自由な人がカラオケ店で楽曲を自在に歌える―。そんな通信カラオケ用システムを、点字プリンターメーカーの「日本テレソフト」(東京)が日本で初めて開発し、話題になっている。視覚障害者らは「点字カラオケを置く店がもっと増えれば、多くの人が楽しめるようになる」と期待を寄せている。

弾き語り風
2月上旬、東京のJR高田馬場駅近くの「カラオケ館・高田馬場2号店」。両手の指を「点字ディスプレー」に添えて、まるでピアノの弾き語りのように歌う河辺豊子さんの姿があった。「これまでは、自分で作った点字カードを持参したり、耳元で歌詞を読んでもらったけど、点字カラオケができてからはその必要がなくなり、楽しい」と笑顔がはじける。

友達の加藤満裕美さん(41)は「オリビアを聴きながら」を熱唱。「今までは、誰かにカラオケに行こうよと言われて行ってたけど、これからは私から一緒に行こうよと誘える」と話す。加藤さんは人差し指で点字をなぞり、手にマイクを持って歌うスタイル。そして、自分の携帯電話を使って、赤外線で曲を自在に入力していたのには驚いた。

英語も表示
点字カラオケシステムは、日本テレソフトが通信カラオケ大手「エクシング」(名古屋)と共同開発した。具体的には、カラオケ装置から出る菓子データをパソコンが点訳し、「点字ディスプレー」(40字や80字)の点字ピンで表示する仕組み。点字ピンは、カラオケ画面の歌詞のほぼ2行分を一気に示すためスムーズに歌える。
システム開発した理由について、日本テレソフトの金子秀明社長(59)は「当社はこれまで、学校や仕事で役立つ点字機器を開発してきたが、楽しさとか遊びにつながる物があってもいいのではと思って」と話す。

システムはエクシングの通信カラオケ「ジョイサウンド」が提供している10万曲を点訳する。日本語のほか、英語やイタリア語、中国語の点字表記もできる。河辺さんと一緒だった久保博揮さん(34)は、日本語と英語が歌詞に登場する「プリズナー・オブ・ラブ」を巧みに歌っていた。

改善の余地
課題もある。例えば「長崎の女(ひと)」を「長崎のおんな」と訳すなど、楽曲でたまに出る「当て字」に弱い点だ。利用面では、カラオケ店での準備のの都合から、前日までに予約を入れる必要があることなどまだ改善の余地はありそう。日本の視覚障害者は約30万人に上るが、点字カラオケ設置は、東京都2店、新潟、埼玉、鹿児島県の5店にとどまっている。エクシングは、点字カラオケ導入を各店に呼び掛けていく方針だ。


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